頭のにおいも、加齢臭と同じようににおい対策が必要です。

オールバックの男

自分の頭のにおいを気にする人は、少ないのではないでしょうか?

髪の毛の手入れの一つとして、我々は、頻繁にシャンプーを使って洗っているので、普段あまり頭のにおいを意識しないのではないでしょうか?

シャンプーやコンディショナ-に入っている香料の残り香の方が強くて、不快な頭の匂いを嗅ぐことは稀になっています。

体臭や口臭と違って、自分の頭のにおいが強いと悩む人はほとんどいないと思います。

それでも、長い間洗わずにいたり、汚れたり、汗をかいたまま放って置けば、髪の毛や頭はにおい始めます。

汗が出て、そこに菌が棲み、しかもにおい物質を溜め込んで効果的に放出する「毛」があるとしたら、脇の下同様、においを発しないわけがありません。

しかし、髪の毛には体とは違って、やはり「毛のにおい」としか言いようのない特徴あるにおいがあることも、我々は経験から知っています。

頭のにおいの成分と、その成分の発生してくるメカニズムはどうなっているのでしょうか。

頭のにおい成分を調べるに当たっては、髪の毛に残ったシャンプーなどに由来する香料成分を流し去る必要があります。

そうしないと、髪に残った香料に由来する香り物質を、誤って体から出た物質として拾ってしまう可能性があるからです。

そのためには、頭を香料無添加のシャンプーでよく洗い、そのまま洗髪せずに数日間放置します。

その後、頭から揮発する物質をヘッドスペース分析によって得ると同時に、髪の毛をアセトンで洗い流し、その中に溶け込んだ成分を抽出して分析するのです。

ヘッドスペース分析とは

ヘッドスペースとは、「物の上部の空間」を意味していて、液体や固体の上部には、それらに含まれている成分で特に沸点の低いものが存在しています。

ヘッドスペース分析とは、このヘッドスペースを用いて、液体や固体中の揮発性成分の分析することです。

ヘッドスペース分析からは、においに関するイソ吉草酸(きっそうさん)の他に、ヘキサナールやヘプタナール、ベンツアルデヒドやアセトフェノンといった、香料としても用いられる臭い物質が見つかっています。

ただし、においと言うのはそれぞれの成分が占める割り合いによって、臭いの質や強さが著しく異なることがあるので、ただ単にイソ吉草酸があるからといって、独特の悪臭がするわけではありません。

複数の成分が混ざり合っている臭いでは、その中のひとつの成分の量が多いか少ないかで、極端な場合、芳香が悪臭に変わることも有りえます。

アセトンの抽出

アセトン抽出のデータからは、多くの脂肪酸が見つけることができます。

これらは、毛髪の毛穴に出口を持つ皮脂腺からの分泌物や毛髪自体の中にある脂質に由来すると思われ、それらが常在菌によって分解されて低級脂肪酸となります。

頭がにおいを発するメカニズムは、脇の下の場合と変わらないということですね。

皮脂腺細胞で作られる皮脂は固いバターのような中性脂肪で、このままでは粘着性が無いため、皮膚表面に出ても役に立ちません。

これを汗や体液の水分に溶かして、乳液状の皮脂膜と呼ばれる成分に変えるのがリパーゼという酵素を持った常在菌の仕事で、それによってできた皮脂膜は皮膚表面や毛幹を覆います。

この皮脂膜が、表皮では角層の水分の蒸発を抑え、皮膚にうるおいを与え、毛幹にあっては毛髪中の水分蒸発を抑えて、髪の毛のしなやかさやつやを保つ働きをします。

言い換えれば、肌や髪の健康は、体の成分と皮膚に住む常住菌との共同作業によって保たれていることになります。

皮脂膜の成分はトリグリセライド、スクワレン、ワックスエステル、脂肪酸などで、それは基本的に体のどの部分でも大した変わりはないです。

それでいて、においの質が頭と服の下では、明らかに違うのは、一つには額の生え際を除いて頭にはアポクリン汗腺がないために分泌物が異なることと、脇の下や他の皮膚上と頭皮では、常在菌の種類に違いがあることによると考えられています。

頭の臭いと皮膚の臭いとの違い

すなわち、皮膚においては、St.epidermidisという菌が中心であるのに対し、頭皮ではSt.capitisという菌が大半を占めることにより、頭特有のにおいを作り出しているのではないかと推察されています。

アセトン抽出から得られたデータを元に、頭皮臭の再現を試みた結果、そのにおいを所内の男女計22人に嗅がせて、何の臭いに似ているかと調査をしたところ、頭皮臭よりは汗臭や体臭に似ていると答えた人の方が多かったのです。

最新の分析機器を使ってもそのことにおいに関しては、においの再現はひじょうに困難なのです。

フケと細菌について

細菌の顕微鏡写真

頭のにおいで見逃してはならないものにフケがあります。

フケというのは、頭皮の角質細胞が老化してはげ落ちたものと、皮脂の分解酸化物との混合物であると言われています。

新陳代謝の一部として誰にでもあるものですが、通常は目につきません。

多量にフケが頭皮や髪に現われる場合があり、これをフケ症と呼んでいます。

特徴として、フケが頭皮にこびりついて炎症を起こし、皮膚にひずみを生じやすく、また、見た目の不潔な印象もあってフケは嫌われ、フケをそのままにしている人も不潔というレッテルを貼られてしまいます。

厄介なフケ症

フケの原因というのも、実はまだ完全には究明されていないようです。まだ、Pt.ovaleという菌が、フケ関連菌として知られているに過ぎません。

この菌がフケの原因と考えられている理由は、以下の理由からです。

①頭皮にいるPt.ovaleの数が多いと、フケの程度も、より深刻になる。

②Pt.ovaleを殺菌することだけを効能として持つ薬物を使うとフケが治る。

③Pt.ovaleを殺菌した頭皮上に再度同じ菌を移植すると、フケも再発する。

こうした事実から、Pt.ovaleに作用する成分を含んだシャンプーが「フケ取りシャンプー」として売られていますが、実際にはフケを取るのではなく、フケの原因であると思われる菌を減菌ないし殺菌する成分を含むのです。

英語では、Antidandruff shampooといい、ヘアケア市場の重要かつ大きな一部分を占めています。

Pt.ovaleに効く成分としては、ジンクピリチオン、ヒノキチオール、サリチル酸などがあり、シャンプーの中に配合されています。

ただし、Pt.ovaleが頭皮上に棲んでいても、フケの生じない人もいるので、この菌がフケの100%の原因とは言い切れず、現在では、何か他の要因も作用していると考えられています。

フケそのものに、臭いはあるのでしょうか?

フケの成分は、角質と皮脂の分解成分です。

そんため、その比率が人によってかなり異なり、例えば、女性より男性の方が皮脂に由来する成分が多く、したがって「あぶらけ」が多いというような報告があるだけで、フケの臭気にまで立ち入った研究は今のところ無いようです。

しかし、フケの見た目や痒みから、「カユイ、クサイ、キタナイ」といった連想が働いて、フケの粉を黒い髪のあちこちに撒いたような人を見ると、やはり頭のくささを感じてしまうのは確かですね。

面白いのは、フケの原因とされるPt.ovaleの作り出す臭いです。

この菌は頭皮に存在し、皮脂腺の発達する思春期以降に増加して、皮脂腺からの分泌物に含まれている長鎖の脂肪酸を臭いの強い短鎖の脂肪酸などに分解すると考えられています。

髪の毛そのものに、においは無いのでしょうか?

散髪をしている男

香料会社では、シャンプーやコンディショナ-の香りを簡便に評価するために「かもじ」というものを使うことがあります。

これは人毛を切り取って適当な量に束ねたもので、かつらの原料にもなるものです。

これを何度も香りの付いていないシャンプーで洗い、アルコールで消毒して、脂分を流し去っているのですが、大抵は独特の臭いが強く残っていて、香りの弱いシャンプーでは地の髪の臭いの方が強く、香りの評価が難しいといったこともあります。

このことから見る限り、髪の毛にはにおいがあると言えるでしょう。

そもそも髪の毛の成分は何でしょうか?

毛髪の化学的組成としては、タンパク質、メラニン色素、脂質、微量元素、水分などがあります。水分は通常12%、マンガン・カルシウムといった金属やリン、ケイ素などの無機成分が1%以下、メラニン色素は、3パーセント以下と言われています。

脂質は個人差が大きいが、だいたい1~9%残りはタンパク質です。

このうち、臭いと関係するのはタンパク質と脂質です。

脂質に関しては、皮脂腺に由来する脂質の他に毛髪内部にも脂質が存在することが確かめられています。

髪の毛の内部の脂質と皮脂腺からの脂質では組成的に差はなく、遊離脂肪酸とグリセリドやコレステロール、スクワレンといった、馴染み深い中性脂肪です。

それ自身にも、例えばスクワレンには弱いオイリーな臭いはありますが、毛髪の中にそれらを分解する菌がいるとは考えにくいので、それほど髪のにおいには貢献していないのかも知れません。

一方、毛髪の主成分であるタンパク質は、硬タンパク質のひとつであるケラチンで、約18種類のアミノ酸が鎖状に結びついてできています。

日光の影響などで、ケラチンタンパク質の一部が壊れると、アミノ酸が抜け落ちます。

レゴで組糸立てられた大きな固まりであるタンパク質から、それを構成するレゴのブロックーピースに当たるアミノ酸がころがり出したと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

同時に、毛髪の中にはケラチンを構成するのではなく、もとから単独で存在する遊離アミノ酸があり、これら一ブロック単位になったアミノ酸はいかにも臭いに関係しそうです。

髪の毛のにおい成分

トリプトファンやプロリンなどは、アミノ酸自体としてにおいがあります。

臭いの弱いアミノ酸の場合でも、脱アミノ反応などによって、におい出すことは十分考えられます。

髪の毛のケラチンを構成するアミノ酸には、性差や食事による違いが現われるので、見た目は同じでも、形作るブロックひとつひとつの形状、性質が人によって異なり、その人なりの髪の臭いに反映されるということがあります。

しかし、「かもじ」(髪を結ったり垂らしたりする場合に地毛の足りない部分を補うための添え髪のこと)のような場合を除けば、人間の髪の毛は常に頭にあるわけですから、頭皮の脂質に由来する臭いと毛髪のタンパク質、アミノ酸系のにおいの両方が頭の臭いを作り上げていることになります。

人間の体の成分は、水分、脂質、タンパク質の三つに分けられると仮定した場合、そのうち水分を除くほとんどすべてが、潜在的には臭いのもとになり得ると考えられています。

ですから、人間の発するにおいには、脂質が分解されて脂肪酸のようなにおいになるものと、タンパク質が分解されてアミノ酸になり、アミノ酸がさらに分解されて臭いになるものの二系統があると考えられます。

その二種類のにおいは、どちらも細菌が介入することで臭いの強さが、パワーアップされることも共通しています。

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